仮眠室で囁いて

振り向くと足早に近づく佐久間先生がいた。

「なんだよ、そんな怖い顔して」

「わかってんだろ?
もう近づくなよ高橋さんに」

「ちょっと話すくらいいいだろ?」

イライラしている佐久間先生に、のんびりとした口調で坂口先生は笑った。
私に目を合わせると
「昨日は飲ませ過ぎてごめんね。
今日は仕事辛くなかった?」

と穏やかに話しかけてきた。

「はい。大丈夫です。
ぐっすりよく寝ましたから」

「…服部先生と?」
「…っ!」
私の顔がみるみる赤く染まる。

「ここ、見えてる」
先生は自分の鎖骨あたりをトントンと指差し、慌てて首もとを押さえた。