仮眠室で囁いて

「いいか、坂口と口を聞くな、半径三メートル以内近づくな、でれでれと眺めんな」

先生はそうぶつぶつ言いながら小児科までついてきた。

先生と別れてすぐ小児科のナースが二人、怖い顔をして
「高橋さんちょっといい?」
と私を呼び止めた。

「これってあなたよね?
どういうこと!」

見せられた携帯画面には、坂口先生に酔った身体を支えられて腰を抱かれてホテルに入る姿が写っていた。

「ふーん、連れてこいって坂口に頼んだがあいつ、麻美にベタベタさわりやがって」

後ろからスッと伸びた手が携帯を取り上げ画面を削除した。