仮眠室で囁いて

「…おい」

師長がいなくなるとすぐに不機嫌な服部先生が近づいてきた。

「いいか、坂口とは口を聞くな。半径三メートル以内に近づくな。
イケメンだからってでれでれ眺めんな。」

「…先生、うるさいです。私は仕事しに小児科に行くんです!
あんまりうるさいと

……嫌いになりますよ」

先生を困らせるために意地悪をいったはずなのに、私の一言に先生は嬉しそうに笑った。

「高橋さん、それ好きって言ってるから。服部先生喜ばしてるから」

佐久間先生の突っ込みに

「よけーなこと言うな!」

とまた不機嫌になった。

「高橋さん、先生の言う通り坂口には近づいちゃ駄目だよ。
アイツ優しげな羊だけど近づいたらすぐ食べられちゃうからね。
手早いからきをつけなよ。
人のモノに手だすのすきだから」

佐久間先生の言葉にぎょっとした服部先生は、

「俺も着いていく!」

と駄々を捏ねて、戻ってきた師長にこってり叱られその隙に私は小児科に逃げ込んだ。