仮眠室で囁いて

口なんてきいてやるものか!

車に乗せられても、ご飯を食べても、私は目も合わせずにそっぽを向いて不貞腐れていた。

そのまま、先生はマンションの駐車場に車を停めた。

病院からさほど遠くないタワーマンションは、私の住むマンションよりはるかに立派なもので、流石脳外科医だなと感心していると

「とりあえずおりて家にきてもらえるか?」

先生は一言も話さない私に困り果てて、泣きそうな顔でじっと見つめてきた。

「…私、ただ彼氏がほしいわけじゃないんです。
結婚してくれる人と付き合いたいんです!」

「あぁわかってる」

目を合わせて口をひらいた私に先生は安堵の表情を見せた。