「なんでいきなりそうなるんだよ」

「ん? 知りたいから。ねえ、キョンは何年何組?」

 貴史ちゃんは、ノートパソコンを閉じて立ち上がった。それで、ベランダに向かう。

「お前に教えるわけないだろうが」

 貴史ちゃんは、苛立ちを隠せない様子。からからと、大きな窓を開けてベランダに出た。

 半分、オチたね。次のステップ。

 俺は、隣の窓を開けて、上半身だけ外に出す。日に日に冷たさを増していく風。確か今日の最高気温は13℃だったはず。

 貴史ちゃんは、ベランダの手すりに体重を預けて空を見上げる。時折吹き上げる強い風が、白衣をはためかせる。

「貴史ちゃんは、俺に教えるよ」

「言うわけないだろう。言うつもりなんてさらさらないのにどうしてだよ」

 振り向いた貴史ちゃんは、俺を強く睨んだ。いい目。萌えちゃう。

「だって貴史ちゃん、これから俺に脅されるんだもん」