「たすく、お前はなんで琴実ちゃんには、酷いんだ?」

「うお。貴史ちゃんじゃないのぉ。いつからいたの?
盗み聞きなんてイイ趣味してるじゃない」

 コットンが寝ているベッドのカーテンから出てきた途端、貴史ちゃんが声をかけてきた。貴史ちゃんは、デスクに置いてあるノートパソコンでお仕事してたみたい。

「で、どうなんだ?」

「コットンは親しい友で彼女じゃないから、かなあ? よくわかんないし、話したくない」

 貴史ちゃんがカタカタ鳴らすノーパソの横に腰をかけた。

「それで、響ちゃんのことだけど――」

「なになに? キョンがどうしたの!?」

「目をキラキラさすな。あのさ、響ちゃんにちょっかい出すのやめてくれないか?」

 ふうん。そういうこと。

 真剣な眼差しの貴史ちゃん。俺をじぃっと見つめる。
 そんな目ぇしたってダメよ。俺、男には興味ないんだから。

「いやだね。俺、人に指図されるのだいっ嫌いなの」

「お前なあ……」

「貴史ちゃんの言いたいことは、よおくわかる。
可愛い妹が、俺の毒牙にやられはしまいかと心配なんでしょ?」

「まあな」

「だいじょーぶ。悪いようにはしないから、ね?」

 貴史ちゃんは俺のウインク光線を手ではらって、眉根を揉む。うーん、なかなか男前。

「たすく、だからそれが……」

 さあて。ここからが本番。

「俺ね、昨日でわかっちゃったんだよねえ。キョンのあつーい視線の先。
まあ、鈍感貴史ちゃんには、何のことかわかんないだろうけど」

 なーんてね。かまかけてみちゃったりして。

 ふっふっふ。貴史ちゃんキョトンとしてるぜぃ。もう一押し。
 
 そんな貴史ちゃんにさらに付け加える。

「キョン、すっごく苦しんでるよ? たぶん、俺なら助けられる」

「響ちゃんが何に苦しんでいるかはわからないが、俺が助ける」

「ふうん。それは妹として?」

「当たり前だろう」

「あは。面白いこと言うねえ。
貴史ちゃんじゃ絶対に無理だから、キョンのクラス教えて」