視線が絡まる。私、もしかしたら、睨んじゃってるかもしれない。

 それにもかかわらず、戸部たすくは嬉しそうに笑う。

「たーかしちゃん、俺、いいこと思いついちゃった。
明日から、俺をココで働かせてよ。
そしたらさ、許してあげる」

「たすく、それは……」

「えー? 駄目なのー?
さっき打った頭が……イタタタタタ」

 その場にうずくまる戸部たすく。
 
 しらじらしい。まるっきり嘘じゃない。

「ああ、本当にごめんなさい! 大丈夫?」

 お姉ちゃんは、戸部たすくに慌てて走り寄る。ああ、罪悪感を植えつけられてしまったの? 騙されちゃってる。

「燈子さん、俺ね、お金がなくて本当に困ってるの。
だから、助けてくれないかなあ?」

 うっわ。すっごい上目遣いでお姉ちゃんを見てるよ。大きな目、うるうるさせちゃって。

「うん、わかったわ。お詫びもしなきゃいけないものね。
たすく君、明日からおいで」 

 お姉ちゃん、天使すぎ。

「たすく、お前いつから金に――」

「燈子さん、ありがとう! 本当に助かる!」

 戸部たすくは貴兄の言葉を遮るように大声をかぶせて、お姉ちゃんに抱きついた。

 一見すれば、無邪気な可愛い男、戸部たすく。でも、私はこれでも占い師よ。色んな人を見てきたんだから。数字なんか見えなくてもわかる。

 コイツ、危険。