「ほーら、泣き止んだ。俺、可愛い子泣き止ませるの得意なんだ」
一瞬、眩しい。目を思わず細めてしまいそうになる眩しい笑顔。
本当だ。いつの間にか嗚咽が止まってる……。
男の笑顔をすぐに消えて、それにかわって困ったように眉尻を下げた。
「かわいいなあ。たまんねえ。……キスしていい?」
え、ええと、何?
キスってなんだっけ?
突拍子のない言葉が飲み込めず、呆然とする私を目を細めて見つめる。熱がこもったその眼差しに背筋がぞくりと震えた。
男は顔を傾けて、形のいい顎をゆっくりと伸ばす。
ばくん。心臓が破裂しそう。
「なにをさらしとんじゃこのボケカスがああああ!」
急に視界がひらけて、目線をあげると……お姉ちゃん!?
目の前には、肩で息をしたお姉ちゃんが仁王立ちしていた。
「大切な妹を泣かせておいて、まだキスするか、オノレはぁ!!」
視線を下げると、仰向けに倒れた男が目をぱちくりして、お姉ちゃんを見上げている。
た、たぶん、この男は、お姉ちゃんに突き飛ばされたのだろう。
「お、お姉ちゃん……、あのね、ご立腹のところ悪いんだけど――」
「燈子! 何事だ!?」
聞き覚えがある声に、目を向ければ、カウンターの奥の扉から貴兄が飛び出して来た。
「貴史! コイツ、響ちゃんに……!」
お姉ちゃんは、床に寝そべる男を指差した。
「なに!? 響ちゃんがどうし――」
男に駆け寄る貴兄の動きが止まった。
一瞬、眩しい。目を思わず細めてしまいそうになる眩しい笑顔。
本当だ。いつの間にか嗚咽が止まってる……。
男の笑顔をすぐに消えて、それにかわって困ったように眉尻を下げた。
「かわいいなあ。たまんねえ。……キスしていい?」
え、ええと、何?
キスってなんだっけ?
突拍子のない言葉が飲み込めず、呆然とする私を目を細めて見つめる。熱がこもったその眼差しに背筋がぞくりと震えた。
男は顔を傾けて、形のいい顎をゆっくりと伸ばす。
ばくん。心臓が破裂しそう。
「なにをさらしとんじゃこのボケカスがああああ!」
急に視界がひらけて、目線をあげると……お姉ちゃん!?
目の前には、肩で息をしたお姉ちゃんが仁王立ちしていた。
「大切な妹を泣かせておいて、まだキスするか、オノレはぁ!!」
視線を下げると、仰向けに倒れた男が目をぱちくりして、お姉ちゃんを見上げている。
た、たぶん、この男は、お姉ちゃんに突き飛ばされたのだろう。
「お、お姉ちゃん……、あのね、ご立腹のところ悪いんだけど――」
「燈子! 何事だ!?」
聞き覚えがある声に、目を向ければ、カウンターの奥の扉から貴兄が飛び出して来た。
「貴史! コイツ、響ちゃんに……!」
お姉ちゃんは、床に寝そべる男を指差した。
「なに!? 響ちゃんがどうし――」
男に駆け寄る貴兄の動きが止まった。



