まりこさんはゆっくりと頷いた。
「恋人の写真か何かあるかしら」
微笑みの度合いを気をつけながら、まりこさんの表情を伺う。
まりこさんは、俯いたままバッグに手を入れた。
簡素な机に差し出された写真には、スーツをスタイリッシュに着こなした爽やかな色男。ああ、なるほど。
「ねえ、まりこさん、はっきり仰ってね。
この方のこと、本気で愛してる?」
私の問いにまりこさんは、
「わからないわ」
ぽつりとつぶやいた。
私は、まりこさんの肩に目線を落とす。
「1週間後の午後7時、全ての答えがひとつにつながる、という暗示が出ているわ。
場所は、この方が一番好きな場所」
「一週間後……」
「この方を愛しているか、そうではないのか。その場所に行くか、行かないか。
決めるのは、まりこさんよ。あなたの一番素直な気持ちで決めるといいわ」
「先生……」
「答えはもう出ているようね。自分の気持ちに従ってくださいね」
私の言葉を最後まで聞きうけると、まりこさんは柔らかく微笑んだ。
「先生は、何でもお見通しなんですね」
お見通し……。
「何でも、では無いですよ。私自身のことは占えません」
「そういうものなんですか。こんなこと先生に言うのはどうかと思いますが……、先生も随分とお辛そうだわ。あまり、無理なさらないでね。
では、今日はありがとうございました」
明かりに包まれたまりこさんの肩が少しだけ軽くなったように見えた。占いを始めてよかったな、と思う瞬間。
「恋人の写真か何かあるかしら」
微笑みの度合いを気をつけながら、まりこさんの表情を伺う。
まりこさんは、俯いたままバッグに手を入れた。
簡素な机に差し出された写真には、スーツをスタイリッシュに着こなした爽やかな色男。ああ、なるほど。
「ねえ、まりこさん、はっきり仰ってね。
この方のこと、本気で愛してる?」
私の問いにまりこさんは、
「わからないわ」
ぽつりとつぶやいた。
私は、まりこさんの肩に目線を落とす。
「1週間後の午後7時、全ての答えがひとつにつながる、という暗示が出ているわ。
場所は、この方が一番好きな場所」
「一週間後……」
「この方を愛しているか、そうではないのか。その場所に行くか、行かないか。
決めるのは、まりこさんよ。あなたの一番素直な気持ちで決めるといいわ」
「先生……」
「答えはもう出ているようね。自分の気持ちに従ってくださいね」
私の言葉を最後まで聞きうけると、まりこさんは柔らかく微笑んだ。
「先生は、何でもお見通しなんですね」
お見通し……。
「何でも、では無いですよ。私自身のことは占えません」
「そういうものなんですか。こんなこと先生に言うのはどうかと思いますが……、先生も随分とお辛そうだわ。あまり、無理なさらないでね。
では、今日はありがとうございました」
明かりに包まれたまりこさんの肩が少しだけ軽くなったように見えた。占いを始めてよかったな、と思う瞬間。



