「はい、坊ちゃんは、ココアがお好きでしたよね。
お嬢ちゃんも同じで」
川原は、俺とキョンにひとつずつ缶を渡す。
ホット缶なら砂糖微量コーヒーを選ぶようになった、という成長は川原は知らなくて当然。
こいつの中の俺は、中学受験に奮闘する小学生、はたまた、復讐に駆られた中学生のままのはず。
「どうぞ」
俺は、キョンとの距離を詰めて、川原が座れる場所をあけた。
「いいえ。ここで結構」
頬を緩ませながら、自分の分の缶コーヒーを開けた。
ベンチに座っている俺を見下ろす。
堪らず、俺も立ち上がった。
右手の缶ココアを半回転。3回。
……落ち着かない。
「で、話ってなんです?
あ、まさか、あの女、死にました?」
ふ、と鼻を鳴らす川原。それから、缶の口に唇を寄せて、喉を鳴らした。
「生きてるよ。
私みたいに眠りこけているふりをしてなかったならば、今朝目を覚ました」
ふり……。
なぜ?
「甘くなったね、坊ちゃんは」
川原の口元から笑みが消えた。
「何が言いたい」
「君の復讐は、最高の出来だったよ。
私は、君からシャブが流れてきていることには気づかなかった。
自ら、それを求めていたようにさえ感じていた」
「だから?」
思わず、早口になる。
奥歯を噛み締めると、ギリリという不快な音が頭に響いた。
「あの時の君だったら、こんなミスは犯さなかっただろうね」
川原の顔が不気味に歪んだ。
お嬢ちゃんも同じで」
川原は、俺とキョンにひとつずつ缶を渡す。
ホット缶なら砂糖微量コーヒーを選ぶようになった、という成長は川原は知らなくて当然。
こいつの中の俺は、中学受験に奮闘する小学生、はたまた、復讐に駆られた中学生のままのはず。
「どうぞ」
俺は、キョンとの距離を詰めて、川原が座れる場所をあけた。
「いいえ。ここで結構」
頬を緩ませながら、自分の分の缶コーヒーを開けた。
ベンチに座っている俺を見下ろす。
堪らず、俺も立ち上がった。
右手の缶ココアを半回転。3回。
……落ち着かない。
「で、話ってなんです?
あ、まさか、あの女、死にました?」
ふ、と鼻を鳴らす川原。それから、缶の口に唇を寄せて、喉を鳴らした。
「生きてるよ。
私みたいに眠りこけているふりをしてなかったならば、今朝目を覚ました」
ふり……。
なぜ?
「甘くなったね、坊ちゃんは」
川原の口元から笑みが消えた。
「何が言いたい」
「君の復讐は、最高の出来だったよ。
私は、君からシャブが流れてきていることには気づかなかった。
自ら、それを求めていたようにさえ感じていた」
「だから?」
思わず、早口になる。
奥歯を噛み締めると、ギリリという不快な音が頭に響いた。
「あの時の君だったら、こんなミスは犯さなかっただろうね」
川原の顔が不気味に歪んだ。



