遅かった。
「随分と久しぶりだね。3年ぶりかい?
その、見た感じ、怪我は直ったようだけど……」
と川原は温容をめいっぱい顔に貼り付けて胸の前で両手を広げる。
思わず口の中で舌を打つ。
「お陰様で」
感情を置き去りにした声が腹から出る。
「少し、話をしないかい?
君の大嫌いなママの話でも」
眉毛がぴくりと意志に断り無く動いた。
「いいですよ、川原さん」
「彼女も……一緒にどうだい?
私にとって、君は弟みたいなもんだ。
弟の彼女とも話がしてみたい」
何が弟だ。ふざけるな。
「いいえ、彼女は、これから――」
「彼女に、隠すの?」
俺の返答に川原が質問を被せた。
隠すの? と聞かれると答えが見つからない。
隠したいわけではないけれど、敢えて知らせる必要はない。
それは、キョンを、奥深くまで巻き込むことを意味しているから。
寒気がする微笑み。その目でキョンを見るな。
「彼女、も、これまでのこと、聞きたいよね?」
キョンは、川原の顔を凝視しながら、俺の手を探し当てて強く握った。
力を入れて尚、手が、震えてる。
キョンは頷いた。
駄目だ。キョンはこいつと一緒にいちゃいけない。
「オーケイ。じゃあ、あそこの公園に行こうか」
川原は、心底楽しそうな声で言った。



