「きゃああ! 可愛いわあ、可愛い! あん、今すぐ食べてしまいたい」
とりあえず、妹に対する発言として相応しくない箇所が一点。
お姉ちゃんは嫌がる私に黒いドレスを着せ、三つ編みにしていた髪を強引にほどき、無理やり真っ赤な口紅を引いて、眼鏡を隠した。
「お姉ちゃん、ドレスなんて何着もいらないよ……」
「なによお。占い師にとって、ドレスは一番大切なアイテムでしょう!?」
その情報はどこからきたのかしら。
この前は『おいらん風占い師』と言い張って、胸元がずばっとあいた着物着せたじゃないの。
眼鏡を外されると、数字が視界を埋め尽くす。
ちなみに、お姉ちゃんの頭の上には、23と5、6。
私の統計からいくと、5と6の暗示は『可愛い』と『楽しい』
うん。お姉ちゃん、私で遊んでるわね。
……お姉ちゃんの肩に12。
「お姉ちゃん、肩に12が出てるわよ」
「あら、12は何だったかしら?」
「12は、『勘違い』の暗示。
お姉ちゃんの勘違いはいつものことだけど、暗示が出るくらいだからちょっと気をつけた方がいいわね。時間はおそらく――」
12の横に小さく2230。
「今晩の10時半ごろね」



