彼女を10日でオトします



「きゃああ! 可愛いわあ、可愛い! あん、今すぐ食べてしまいたい」

 とりあえず、妹に対する発言として相応しくない箇所が一点。

 お姉ちゃんは嫌がる私に黒いドレスを着せ、三つ編みにしていた髪を強引にほどき、無理やり真っ赤な口紅を引いて、眼鏡を隠した。

「お姉ちゃん、ドレスなんて何着もいらないよ……」

「なによお。占い師にとって、ドレスは一番大切なアイテムでしょう!?」

 その情報はどこからきたのかしら。
 この前は『おいらん風占い師』と言い張って、胸元がずばっとあいた着物着せたじゃないの。

 眼鏡を外されると、数字が視界を埋め尽くす。

 ちなみに、お姉ちゃんの頭の上には、23と5、6。
 私の統計からいくと、5と6の暗示は『可愛い』と『楽しい』

 うん。お姉ちゃん、私で遊んでるわね。

 ……お姉ちゃんの肩に12。

「お姉ちゃん、肩に12が出てるわよ」

「あら、12は何だったかしら?」

「12は、『勘違い』の暗示。
お姉ちゃんの勘違いはいつものことだけど、暗示が出るくらいだからちょっと気をつけた方がいいわね。時間はおそらく――」

 12の横に小さく2230。

「今晩の10時半ごろね」