キョンは、肩で息をしながら、近づいてくる。

「キョン、どうしてここが……って、ええ!?
なんでここにキョンがいるの?」

「うるさいわね!! いいから黙って歯を食いしばりなさい」

 すっごい怒ってるんですけど。なんで?

「ちょっと、待って。キョン……どうしたの?」

「ど、どうしたのですって!? 信じられない!!
もう、絶対、ゆるっさない」

 よ、余計怒った!?
 いや、その拳はナニ?

「や、きょ、キョン、落ち着いて?
わかった、わかったから、まず、指鳴らすのはやめようか、ね?」

「な、に、が、わかったっていうのよ?
言ってみなさいよ!!」

 キョンって、キレると手がつけられないタイプ?
 というか、なんでこんなに怒ってるのよ。

 俺、キョンになんかしたっけ?
 
 あ、したか。でも、ほら、すんでのところで堪えたじゃない。
 いや、コットンが入ってこなかったら、ちょっとまずかったかなぁ……。

 う、うん……殴られて当然ですよね。

「ほら、言えないじゃないのよ!?
私が、どんなに心配したか……たすくさんにはわからないわよ!!」

 え……。
 しんぱい……?

 キョンは、拳を振りかぶった。

 殴られるの理由はわかった。でもグー!?
 グーですか? グーできますか!?