メモに視線を落とさずに、俺の目を覗き見る高智さんの瞳の光が強くなった。

「いいえ。これはただの情報。小さなお礼です」

「では」と言って立ち去ろうとした俺の動きを「たすく」と高智さんが止めた。

「たすく、また、コレさばいてみないか?
お前の後釜、使えないんだよ。すぐ売りもんに手を出す」

 高智さんは、テーブルの上へ無造作に投げ出した覚せい剤入りの子袋を指差した。

「俺もクサには手ぇ出してましたけど」

「お前はガキの癖にズルさも、限度を知ってる。
リストを具現化しなくてもいい」

 リストは全部頭の中にあったからねえ。
 それに、何より、親父が政治家だからっすか?

 に、しても。

「褒められてる気がしないんですけど」

「褒めてねえし。どうだ?」

 これだけは、はっきりしてる。

「もう、こりごりです」

 俺は、頭を下げてから、高智さんに背中を向けた。