彼女を10日でオトします

「ん……」

 ベッドの奥から甘い声が漏れてきた。

 私とヒデさんの体がびくんと上下に反応した。
 私とヒデさんは、同じ感情を共有しているみたいだ。

 想像したくない、したくない。
 カーテンで遮られた向こう側で何が行われているのか、想像したくないと思うほど、脳裏に浮かび上がる。人間の頭は時として、感情には残酷なんだと知った。

 ヒデさんの体に穴を空ければ「やめろ!」という絶叫がもれてくると思う。腰を挟む握りこぶしがわなわなと震えていて……私も同じ。
 声に出来ない叫びが、体の中を充満している。張り裂けそう。

「ヒデ」

 琴実さんの声から間も無くして、たすくさんがこちらに歩いてきた。

 ベッドに向かったままの格好だった。どこにも乱れはない。

「ヒデ、コットンとセックスレスなのお?
コットンの大事なとこから、こんなの出てきたんだけど」

 たすくさんは、ラップのようなものに包まれた透明な小袋をヒデさんの前にかざす。
 さっきとは、うって変わって、調子のいい口調に寒気を覚えた。

「たすく……」

 ラップを広げるたすくさん、ラップに包まれてよくわからなかったそれは、徐々に姿を現す。
 携帯電話よりひと回りくらい小さなジップつきの透明な小袋。
 そのなかには、結晶のようなものが入っていた。

 それを見てたすくさんの表情が曇る。

 たすくさんは、袋から一粒取り出して、舌の先に置いた。

 顔をしかめながら、シンクに移動し、そこに唾を吐いた。

「琴実!
これ、どこで手に入れた!?」

 たすくさんは、これが一番重要だとばかりに、ここにきて初めて怒鳴った。