「琴実!」
と、廊下から声が聞こえた。壁で何度も屈折を繰り返して反響してきたように聞こえた。
その方へ耳を傾ければ、様々な音と声が重なり合った昼休み特有のざわつきが微かに耳に入る。
この部屋だけ世界から切り離されたような、そんな孤独感が空気の中に横たわっていた。
「琴実!」
今度はダイレクトに聞こえた。
目の前のたすくさんと琴実さんから意識を逸らしていたお陰か、なんとか扉の方に振り向くことができた。
そこには、肩で息をしたヒデさんが立っていた。
「琴実……」
ヒデさんの瞳に浮かぶ、憐れみの色。
琴実さんに対してか。
たすくさんに対してか。
それとも、二人に向けているのか。
「琴実、クサくせぇぞ」
……くさ?
たすくさんの声だ。静かで淡々とした口調。
たすくさんを見遣れば、たすくさんは琴実さんの髪の毛を後ろに引っ張ったままで。
あらわになった琴実さんの首筋に顔を寄せる。さながら、吸血鬼。
慌ててヒデさんを見た。
ヒデさんは、何も言わず、じっと歯を食いしばって、二人の動向を注視している。
どうして?
どうして、ヒデさんは、たすくさんを止めないの?
ヒデさんと琴実さんは、恋人同士でしょ?
どうして……止めてくれないの?
と、廊下から声が聞こえた。壁で何度も屈折を繰り返して反響してきたように聞こえた。
その方へ耳を傾ければ、様々な音と声が重なり合った昼休み特有のざわつきが微かに耳に入る。
この部屋だけ世界から切り離されたような、そんな孤独感が空気の中に横たわっていた。
「琴実!」
今度はダイレクトに聞こえた。
目の前のたすくさんと琴実さんから意識を逸らしていたお陰か、なんとか扉の方に振り向くことができた。
そこには、肩で息をしたヒデさんが立っていた。
「琴実……」
ヒデさんの瞳に浮かぶ、憐れみの色。
琴実さんに対してか。
たすくさんに対してか。
それとも、二人に向けているのか。
「琴実、クサくせぇぞ」
……くさ?
たすくさんの声だ。静かで淡々とした口調。
たすくさんを見遣れば、たすくさんは琴実さんの髪の毛を後ろに引っ張ったままで。
あらわになった琴実さんの首筋に顔を寄せる。さながら、吸血鬼。
慌ててヒデさんを見た。
ヒデさんは、何も言わず、じっと歯を食いしばって、二人の動向を注視している。
どうして?
どうして、ヒデさんは、たすくさんを止めないの?
ヒデさんと琴実さんは、恋人同士でしょ?
どうして……止めてくれないの?



