彼女を10日でオトします

 扉の鍵を開けると、琴実さんが飛び込んで来た。

 私には気付かないようなそぶりで、保健室の中央付近で立ち止まった。

 息を切らして「たすく!」と声を張り上げる。

 壊れたCDデッキのように、たすくさんの名前だけを大声で連呼する。その危機迫る異様な背中に、私は寒気を覚えた。

 赤い髪を振り乱して室内を歩き回る。

 そこでようやく、私の存在を認めたようだ。

「キョンちゃんたすくは!?」

 恐ろしいくらいの早口。加えて、その声は悲鳴に近かった。

 私は、ドキリとした。

 私とたすくさんがふたりっきりで、鍵のかかった保健室にいたことが、ばれそうになったから――ではなく。

 琴実さんの形相が凄まじいものだったから。