彼女を10日でオトします

「…………」

 たすくさんは、振り抜いた私の平手の勢いで横を向いたまま、無言。

「最低……」

 そう力なく呟いたのは、私だった。

『たすくー! いるのはわかってるんだから! ここ開けてよお!』

 ガンガン、扉を叩きながら、廊下の人が吠える。

 女の人の声だ。

 私の体の脇に手をついて、たすくさんは身を起こした。

「キョン……ごめ――」「たすくさん、呼んでるわよ」

 謝らせてやるもんか。

 怒りを込めて睨みあげる。
 憎しみも込めてやろうかと思えど、それはできなかった。

 唇を噛み締めて肩で息をしているたすくさんのほうが、私よりも、傷ついているように見えてしまったから。

 酷いことを……されそうになったのは、私なのに。

『たすくう!』

 チャイムが4時限目の終わりを告げる。

「……コットンの声だ」

 と、呟くも、たすくさんは動こうとしない。

「私がいくわ」

 頭の中が空っぽだ。

 たすくさんの体を押しのけると、ズキンと胸が軋んだ。