彼女を10日でオトします

「俺じゃ駄目……じゃないんだよねえ」

 頬にキスを寄せながら耳に移動した唇は、外耳に舌を這わせながら器用に発する。

 全身ががあわだつ。

 掠れた声だったにも関わらず、その強い語気は、尋ねているようには感じらなかった。
 確認だった。突き詰めて言うと、私が言った言葉を再認識させる為に言ったようだった。

「俺を無視するなんて、響子は悪い子だ。お仕置きしなくちゃ、ね」

 耳の奥の奥が、じん、とする。

 熱い息と、感情をひた隠した冷たい声色との対比がスパイスとなって、私の体は熱を帯びる。

 アツイ、アツイ。

「虐めて、虐めて、虐め抜いてあげる。
ほら、自分で外しなよ。
見ててあげるから」

 たすくさんは、手を掴んで、私の胸元に置いた。
 静かな瞳が真っ直ぐ見下ろす。

「い、や……」

「あ、そう。
で、手が動いてないけど」

 頭が働かない。

 なんで?
 なんなのこれ?
 頭はくらくらするし、体は熱いのに震えが止まらない。

もう、何がなんだか――

『たすくー!』

 廊下から聞こえた大声が、引き金になったかのように、体がびくんと跳ねた。

 直後、私の右手は、たすくさんの頬をとらえた。

 バチン。

 乾いた音が保健室に響いた。