彼女を10日でオトします


 たすくさん、乗り越えたって言ってなかった?

 随分、前だけれど、たすくさんの大切なひとが教えてくれたって……。

 まだ、乗り越えていないの? それとも、別の事なの?

 どうしてたすくさんは……冷たい目をするの?

 たすくさんは、訪問記録の表紙を、パタン、と閉じた。
 それを合図にしたように、瞳の奥の洞窟はすっと消えうせた。

「あ、ねえ、キョン、メロンフロート、みせて」

 メロンフロート?

「キョンちゃんの、目。ふたりっきりだし、いいでしょ?」

 義眼、の下の事を言ってるのよね、きっと……。

「だめ?」

「駄目ではないけれど……」

「俺、キョンの目の色、好きなの」

 好き、という単語に、心臓がびくんと反応を示した。
 このまま、見つめられ続けたら、どうにかなりそう。

 煩い心臓の音から逃げ出すように視線を逸らした。

「わ、わかったわよ」

 本当は、こんな濁った瞳、晒したくない。

 それなのに、俯いて義眼の入っている目に手を添える。

 どうして同意してしまったのか……そんな疑問を頭の中に廻らせながら。