白だ、と思った。
強張った唇を舌でなぞれば、愛しい気持ちが溢れる。
こんなふうになってしまったのはキョンのせいだと思えば、憎いとさえ思う。
どうして、とひとたび思えば胸が張り裂けそうに苦しい。
俺の一部にしてしまいたいと、キョンの腰を抱き寄せる腕に力が入る。
どんな色にも染まることが可能なこの気持ちを色で表すとするならば、限りない白。
キョンは、苦しそうに眉根を寄せれども、俺を引き剥がそうとはしなかった。
舌を入れようとしたところで、頭に血がまわり始めた。
慌ててキョンから離れる。
何やってんだよ、俺は。
キョンは肩で息をしながら、無表情に俺を見つめる。
「ふざけないで」と怒っているようにも見えるし、「もっと」とねだっているようにも見える。
「ごめん……」
居たたまれなくなって顔を背ける。
「どうして?」とキョンは言った。「どうして謝るの?」
「どうしてって……俺、無理矢――」
「お礼でしょ?
額か頬だと思っていたから、驚いたけれど」
キョンは、そんなこと本気にして……?
確かに、お礼はちゅーで、みたいなこと、俺は言ったけれど。
俺の「あ……そう?」という気の抜けた返事を聞いたキョンは、そこで初めて俺を睨み上げた。
「なによ、その返事は」
「いや、その……」
まさか、お礼のことなんかすっかり忘れてて、今のは無意識にやっちゃった、なんて言えるはずも無く。俺は頭を掻いた。
「私、感謝、してるんだから」
その口ぶりは、怒ってるんだから、といつ飛び出してきても可笑しくない、不貞腐れたものだった。
強張った唇を舌でなぞれば、愛しい気持ちが溢れる。
こんなふうになってしまったのはキョンのせいだと思えば、憎いとさえ思う。
どうして、とひとたび思えば胸が張り裂けそうに苦しい。
俺の一部にしてしまいたいと、キョンの腰を抱き寄せる腕に力が入る。
どんな色にも染まることが可能なこの気持ちを色で表すとするならば、限りない白。
キョンは、苦しそうに眉根を寄せれども、俺を引き剥がそうとはしなかった。
舌を入れようとしたところで、頭に血がまわり始めた。
慌ててキョンから離れる。
何やってんだよ、俺は。
キョンは肩で息をしながら、無表情に俺を見つめる。
「ふざけないで」と怒っているようにも見えるし、「もっと」とねだっているようにも見える。
「ごめん……」
居たたまれなくなって顔を背ける。
「どうして?」とキョンは言った。「どうして謝るの?」
「どうしてって……俺、無理矢――」
「お礼でしょ?
額か頬だと思っていたから、驚いたけれど」
キョンは、そんなこと本気にして……?
確かに、お礼はちゅーで、みたいなこと、俺は言ったけれど。
俺の「あ……そう?」という気の抜けた返事を聞いたキョンは、そこで初めて俺を睨み上げた。
「なによ、その返事は」
「いや、その……」
まさか、お礼のことなんかすっかり忘れてて、今のは無意識にやっちゃった、なんて言えるはずも無く。俺は頭を掻いた。
「私、感謝、してるんだから」
その口ぶりは、怒ってるんだから、といつ飛び出してきても可笑しくない、不貞腐れたものだった。



