彼女を10日でオトします

 運動場を眺めて、聞き流しているような仕草をみせていたキョンが、ちらりと俺に視線を上げた。

 俺の視線が凹であったなら、キョンの視線は凸で、お互いの視線は、かっちり嵌った。はまってしまった。

 二回、キョンはまばたきをした。

 キョンが目をつぶったほんの一時の間、目を逸らさなかったことを後悔するくらい、心臓がうるさい。

 鼓動のたびに、心臓が左胸から一センチは飛び出しているんじゃないかな。そんなかんじ。

 そして、疑問が浮かぶ。
 俺より、キョンが方が落ち着いて見えるのはどうして?

「あなたが言えって言ったくせに」

 キョンは、ふ、っと表情を崩した。
 息を吐きながら、目を少し細めて。薄く開いた口元には、小さな白い歯を覗かせて。

 衝動。

 頭が真っ白になった。

「痛……」

 キョンの小さな悲鳴にハッとする。
 俺は、キョンを抱きしめていた。

 キョンが何か言ってる。けれどもそれは、俺の頭の中を横切るだけで、その言葉を理解するだけの余裕が俺には残っていなかった。

 気が付いたときには、もう、後戻りができなくて、俺は、キョンの腰を引き寄せたまま、乱暴な手つきでキョンの顎を上に向ける。

 と、同時に、キョンの唇を奪っていた。