「私、貴兄のこと、思いきりなじってしまったわ……」
後悔という後悔を全て閉じ込めた、例えば水槽の中に敷く玉砂利のような、沈む為に作られた声色に聞こえた。
「そうだね」
俺は肯定する。現場をばっちりこの目に、耳に納めた。
俺、キョンに嘘つくのやめたんだから。
「貴兄……、傷、ついてなかった?」
「さあ。俺は貴史ちゃんじゃないから」
俺、キョンを慰めに来たはず。それなのに、口から飛び出た言葉は、キョンを突き放してしまうようなささくれ立ったものだった。
ふきつける冷たい風は、透明感に富んでいるように感じて。
その透明感は、何故だ、何故だと、俺を攻め立てる。
何故、優しくキョンを慰められない?
俺の背中で渦巻く黒いものから逃れるように、俺は歩みを進めて、屋上をぐるりと囲む鉄格子を掴んだ。
「キョン、煙草、吸ったことある?」
下に視線を向ければ、テニスコートの中で、ジャージ姿がラケットを振っている。
「たばこ?」
コンクリートと靴底がこすれる音が耳に入る。
「そそ。俺、本気で後悔しちゃったよ。
止めなきゃよかったなあって」
「未成年の喫煙は法律違反よ」
キョンの声が近い。すぐ隣でキョンの声がした。
横を見ると、キョンも、運動場を見下ろしていた。
自然。それが嬉しい。
とても自然に、俺の隣に来てくれる。
「物凄く、落ち着かなかったんだ。
キョンが、貴史ちゃんに告白してるって考えるだけで気が狂いそうだった」
俺って、ありえないくらい恥ずかしいやつ。
こんな告白してどうすんだよ。
後悔という後悔を全て閉じ込めた、例えば水槽の中に敷く玉砂利のような、沈む為に作られた声色に聞こえた。
「そうだね」
俺は肯定する。現場をばっちりこの目に、耳に納めた。
俺、キョンに嘘つくのやめたんだから。
「貴兄……、傷、ついてなかった?」
「さあ。俺は貴史ちゃんじゃないから」
俺、キョンを慰めに来たはず。それなのに、口から飛び出た言葉は、キョンを突き放してしまうようなささくれ立ったものだった。
ふきつける冷たい風は、透明感に富んでいるように感じて。
その透明感は、何故だ、何故だと、俺を攻め立てる。
何故、優しくキョンを慰められない?
俺の背中で渦巻く黒いものから逃れるように、俺は歩みを進めて、屋上をぐるりと囲む鉄格子を掴んだ。
「キョン、煙草、吸ったことある?」
下に視線を向ければ、テニスコートの中で、ジャージ姿がラケットを振っている。
「たばこ?」
コンクリートと靴底がこすれる音が耳に入る。
「そそ。俺、本気で後悔しちゃったよ。
止めなきゃよかったなあって」
「未成年の喫煙は法律違反よ」
キョンの声が近い。すぐ隣でキョンの声がした。
横を見ると、キョンも、運動場を見下ろしていた。
自然。それが嬉しい。
とても自然に、俺の隣に来てくれる。
「物凄く、落ち着かなかったんだ。
キョンが、貴史ちゃんに告白してるって考えるだけで気が狂いそうだった」
俺って、ありえないくらい恥ずかしいやつ。
こんな告白してどうすんだよ。



