彼女を10日でオトします

 『運動不足』という言葉が頭の中に登場すること3回。

 俺の生活の中で唯一の運動とも言える、夜の戯れも最近じゃめっきりだし。

 禁欲生活の反動がこんな所に現れるなんてねえ。

 朝のジョギングでも、と本気で考え始めた頃、屋上へ出る扉の前のスペースにうずくまる塊を発見した。

 段差を四、五段残したところで足を止めた。

 重ねた腕の中に頭を突っ伏し、俺に脳天を向けている。頭の脇から流れるみつあみは、リノリウムの床をなめていた。

「そこのかわいーいお嬢さん。
パンツみえてますよお」

 キョンは、ゆっくりと顔をあげた。

 パンツなんてこの際どうでもいいのかな?
 体育座りの足を崩すこともなく、上目使いに俺を見上げる。

「たすくさん……」

 目のやり場に困るものの、俺は、取り敢えず胸を撫で下ろした。
 涙の後はみとめられるけれど、現在進行形ではなさそう。

「今日は天気がいいね。
キョンちゃん、俺のひなたぼっこに付き合ってくれない?」

 差し障りのない言葉を……とは思ってたけどさあ、ちょっとこれは、色気なさすぎじゃない?

 呆れて「馬鹿じゃないの」と返ってくると思っていたキョンの言葉は意外にも
はにかんだような、けれども苦い笑顔で、

「ありがとう」

だった。

 ちょっと複雑。
 キョンらしくないの、全然。
 思ってたよりずっと、ショックうけちゃってるのね。