彼女を10日でオトします

「キョンちゃん」

 後ろから、キョンの頭に抱きつく。
 キョンは、相変わらず座ったまま小さく弾んだ。
 この反応がやみつきになるんだよねえ。

「離れてください」

 この強がった声色もたまんない。

「キョン、ずいぶん頭痛そうだねえ」

「痛くないって言ってるでしょ」

 キョンの首に巻きつく俺の手を引き剥がそうと、俺の手首を掴むキョンの指に力が入る。

 そんな微力で俺に抵抗しようってのが間違ってるって、わかんないのかなあ。

「決着、つけろよ」

 俺は、キョンの耳に口を寄せて、囁いた。
 できるだけ低く、できるだけゆっくり、できるだけ声を強めて。

「な、なんのよ」

 予想通りたじろぐキョンに、今度は優しく呟く。

「いつまでもうだうだしてないでさ、ちゃんと、伝えなきゃ」

「なに言ってるのよ。そんなことできるわけ――」

 キョンの震える声を遮るように、俺は言葉を被せる。

「だいじょーぶ。キョンの気持ちを伝えたくらいで、誰も不幸にならない」

 言い切ってみた。
 根拠は何もないけれど。