彼女を10日でオトします

「コットン」

 窓の外を眺めていたコットンが俺を見上げる。

「ああ、たすく」

 コットン、元気ない。
 心ここにあらず、ってかんじ。心なしか、目の下に“くま”をしっかりこさえちゃって。

 目を合わせているはずのコットンの視線は、俺を通り越してその後ろ、そのまた後ろの、どこか異空間を見つめているようだ。

「どったの? コットン、なんかあった?」

「べつに。死んでも言わない、たすくには」

 うっわ。いつもに増して刺々しいでやんの。
 死んでも俺には借りは作らないってことなのかしら。

「でも、コットン、死んじまったらおしまいじゃない」

「たすくに借りを作るくらいだったら死んだ方がマシってこと。
で、何よ」

 うーん、やっぱり。気が立ってますねえ。
 月イチのアノ日なのかしら。

「キョンね、これから頭痛くなるから。
だから、次の教科のセンセーにヨロシク言っといて」

「保健室行ってますって言っときゃあいいわけね」

 コットンは、赤い髪をかきあげて、再び窓の方に顔を向けた。
 目線は、上のほう。雲の流れでも見ているみたい。意外とロマンチストなのね。

「んじゃ、よろしく」

 そう告げると、コットンは外を眺めたまま、面倒くさそうに片手を挙げた。

 キョンの席に向かう途中、一度振り返ってコットンをもう一度見やる。
 コットンは、相変わらず空を眺めていた。

 変なの。