彼女を10日でオトします

「キョンはさ、どうして占いなんかしてるの?」

 腕をひっこめたたすくさんの口からポっと出た言葉は、予想外の質問だった。

 これが、誘導尋問ってやつなのかしら。

「ただの気休めよ」

 気休め。その響きは、口に出してみて、想像以上にしっくりときた。
 
 どんなに私自身しっくりきても、たすくさんは、そうでもないみたい。
 テーブルに頬杖をついて、私を見つめる。次の言葉を待っている、というふうに。

「……以前、たすくさんは、言ったわよね。
姉夫婦と一緒に暮らしている、というのはおかしいって」

 たすくさんは、数秒間、天井に視線を預け、そしてゆっくり視線を私に戻し、頷いた。

「言ったね。その時、キョンに『関係ない』って言われた」

「私の占いの相談料は、お店にいれているの。理由が欲しかったの。私が、ここで暮らすための言い訳」

「貴史ちゃんの傍に居たかったってことも含まれる?」

 ……そうよね。たすくさんは、あのことを知らないはず。
 あのことを知らなくて、私が貴兄を好きだって事を知っていて、そして、今の話を聞けば、当然、そういうことも考えるわよね。

 でも、違うのよ。

 私は、かぶりをふった。

「貴兄は、好き」

 たすくさんのは、読めない表情で目をすうっと細めた。

 決めた。あのことも打ち明けてしまおう。

「貴兄は好きだけど、それとは、次元が違うの。
私、ここ意外、いくところが無いのよ。
親がいないから」

 たすくさんは、目を見開いた。まんまる。瞳が、ころんと、テーブルに落ちてしまいそうなほど。

 意外にも、さらっと口から出たことで、安堵した。
 私、少しは、成長したんだわ。
 口にしてしまえば、悲しみがぶり返してくるのではないかと、今まで口にしたことは無かった。

「い……ない……?」

 恐る恐るといったぐあいにたすくさんの唇が動く。

「正確には、私が生まれると同時に母が。今からちょうど10年前に父が……亡くなったの」