「ムシはナシよ、キョンちゃん。俺、悲しいじゃない」
そう言って、苦笑いするたすくさんに、私は慌てて言葉を返す。
「あ、ごめんなさい。考え事を……」
そんな私の瞳をじーっと見つめる。
「ふうん……。
よし!! キョン、考え事はここでおしまい。
バトンタッチね。
こっからは、俺が考える番」
たすくさんは、自分が座っている真向かいの席に私を薦め、
「キョンの部屋で俺が言ったこと覚えてる?
さあさあ、話してもらおうじゃないの。
キョンが泣いてた理由」
驚くほど単刀直入に話を切り出した。
話すつもりではいたけれど……どこから、どう話していいのか……。
こんなこと、今まで一回も口に出したことがないから、正直、わからない。
なかなか口が開かない私にたすくさんは、手を伸ばして私の頭に乗せた。
「じゃあね、誘導尋問に切り替えますので、素直に答えてくださいね」
ぽん、ぽん、と私の頭の上で、手のひらを弾ませた。



