たすくさんが、マガジンラックの料理本を片っ端から頭にいれている間、私は、後片付けに専念した。
その間、たすくさんは無言で。
いつも、何かと喋っているたすくさんだから、不思議な感じがした。
洗剤の泡に包まれたお皿を水道の水にくぐらせながら、私は考える。
なんでも記憶してしまうって意味を。
流れ落ちる泡が排水溝に吸い込まれていくように、誰にだってある悲しい記憶を綺麗さっぱり消すことはできない。
それって、どんな感じなのだろう。どんな気持ちなのだろう。
ああ。もどかしい。
数字として、見えてしまえば楽なのに。
考えることなんて、しなくていいのに。
洗い終えて立てられたお皿に視線を送りながら、水を止める。
こんな風に洗われてリセットされず、汚れに汚れを重ねるみたいに、つらいことにつらいことを重ねるって、きっと、とっても……。
「ふぬぬぬ。終わったぜぇぃ」
振り返ると、たすくさんは座ったまま、両手を天井に突き上げて伸びをしていた。
「キョン? 難しい顔して、どったの?
あ、やっと俺に惚れた?」
それなのに、こうやって、いつもいつも笑ってる。
どうして、たすくさんは、笑えるの?
その間、たすくさんは無言で。
いつも、何かと喋っているたすくさんだから、不思議な感じがした。
洗剤の泡に包まれたお皿を水道の水にくぐらせながら、私は考える。
なんでも記憶してしまうって意味を。
流れ落ちる泡が排水溝に吸い込まれていくように、誰にだってある悲しい記憶を綺麗さっぱり消すことはできない。
それって、どんな感じなのだろう。どんな気持ちなのだろう。
ああ。もどかしい。
数字として、見えてしまえば楽なのに。
考えることなんて、しなくていいのに。
洗い終えて立てられたお皿に視線を送りながら、水を止める。
こんな風に洗われてリセットされず、汚れに汚れを重ねるみたいに、つらいことにつらいことを重ねるって、きっと、とっても……。
「ふぬぬぬ。終わったぜぇぃ」
振り返ると、たすくさんは座ったまま、両手を天井に突き上げて伸びをしていた。
「キョン? 難しい顔して、どったの?
あ、やっと俺に惚れた?」
それなのに、こうやって、いつもいつも笑ってる。
どうして、たすくさんは、笑えるの?



