彼女を10日でオトします

 『旨い不味いは別として、料理にはね、人柄があらわれるのよ』
 お姉ちゃんの口癖。

 どういう意味なのか、よくわからなかった私だけれど、実際、今もピンとこないけれど……。

 素材の大きさがやや不揃い気味のお姉ちゃんの料理。
 それに比べて、今、目の前で湯気を立ち上らせているたすくさんの『肉豆腐』の、豆腐、インゲン、たまねぎは測ったように切り揃えられている。

 案外、几帳面なのかしら、たすくさんって。

「いただきます」

 お箸を伸ばすと、肉が乗っかった豆腐は、崩れることなく箸の上に落ち着いた。

 口の中で、まず甘みが。それに被せるようにやってくるちょうどいい塩分。あまからの味と豆腐の風味が絶妙にコラボする。

「おいしい……」

 無意識に飛び出した率直な感想は、レポーターには不向きなものだったけれど、たすくさんは、嬉しそうに「よかった」と返してくれた。

 『おいしい』を、他の言葉に変換をするのは、難しいけれど、敢えて言うなら『きちんとした』味、というのが当てはまると思う。

 お姉ちゃんの口癖が本当のことなんだとしたら、やっぱり、たすくさんって、几帳面なのかもしれない。……すんごく意外だけれど。

 それはそうと……箸が止まらない。

「俺、料理、ハマったかも。
そんなふうにさ、美味しそうに食べて貰えるんだったら、また作りたいって思っちゃう」

「私、そんなに美味しそうに食べてる? 実際、美味しいけど……」

「うん。すっげー可愛い」

 そう言って、またにっこり。

 美味しそう=可愛い?
 ちょっと意味がわからないわ。
 ……やっぱり、たすくさんって、イイカゲンな人なのかも。