彼女を10日でオトします

「あらっ! ごめんなさい。気付かなかったわ」
 
 突然、カウンターの奥からカラっとした声がした。
 
 目を開けて、視線を上げると、そこには見覚えのある美人さんの姿が。
 
「あっ、昼間のバスの子!」 

 思い出した。
 
「バスの綺麗なおねーさん!」 

「ふふ、綺麗かどうかはわからないけれど。昼間は、どうもありがとう。お陰で助かっちゃったわ」
 
 お姉さんは大きなお腹を庇いながら、カウンターから出てきた。
 
「綺麗なおねーさんに優しくするのは、男の本能ですから」
 
 お姉さんの、ふふ、と鼻から抜けるような笑い声。たまんないねぇ。
 
「何にする?」
 
 それから、メニューを俺に渡してにっこり。
 
 白い、綺麗な手。
 
 あれ、この結婚指輪のデザイン……どこかで見たことあるような?
 
 俺、今まで人妻と禁断の恋なんてしたことないんだけどなぁ、たぶん。
 女の子には気持ち良く騙されてあげる事にしてるから、わかんないけど。
 
 ううん、と唸る俺をいぶかしげに見つめるお姉さん。その視線に気付いた俺。
 
「あ、ええっと、お姉さんのオススメのコーヒー頂戴」