彼女を10日でオトします

「たすくさん、ひとつ聞いてもいいかしら?」

 キョンは、いつも突然。
 キョンの質問は飛び道具の一種と学習していた俺は、反射的にごくりと唾をのみこむ。

「のどかさん、大丈夫?」

 の、のどか!?

 てっきり、昨日、俺があんなふうになった理由を聞いてくるのかと思った。

「昨日から、ずっと気になってたの……」

 真一文字に結ばれた唇に真剣な眼差し。

「さあ……。どうだろ? みっちょんから連絡ないから大丈夫なんじゃないかな?」

「なにそれ!」

 キョンは、目を三角にして俺に迫る。キョンから顔を近づけてきてくれるのは嬉しいんだけれど、その迫力に思わず身を引いてしまう。
 俺って、なさけねえ。

「様子見に行ってないの!?」

 怒りからか、キョンの唇が小刻みに震えている。

「キョンを送り届けてから、そのままアパートに帰ったから……」

「最っ低!!」

 で、出ました。本日二回目の『最低』。

「あの……ね、キョン、のどかは大丈夫だよ。
誤解されるような言い方しか出来ないけど……、昨日みたいなことって昔からよくあるんだよね」

 キョンの肩をゆっくり押して、前のめりになったキョンの体を元に姿勢に戻しながら、「のどかのこと心配してくれてありがとう」と告げると、キョンは、ぱっと目を大きくして口の手を当てた。

「あ……、ごめんなさい。私が口を挟むようなことじゃなかったわよね……。
でも……。
ねえ、私の考え言ってもいい?」

 キョンは、言いかけた言葉を一度飲み込み、眉尻を下げながら伺いを立ててくる。
 きっつい言葉を、勢いよく投げつけるのに、変なところ律儀なんだな、キョンって。

「いいよ。キョンの考えだったら、いくらでも聞きたい」

 律儀なキョンにつられて、俺まで真面目な口調になる。