一歩、中に入ると、老舗料亭(行ったことないけど)か、老舗旅館(行ったことないけど)の趣。
老舗は、老舗でも、老舗煎餅屋みたいに、くたびれてる感じじゃなくて。老舗の前に「高級」ってつくような。
こう、建物に歴史を感じるんだけれど、隅々まで手入れが行き届いているふうで、威圧感さえ感じる。
木造の建物も立派だけど、広々とした庭も圧巻。戸部たすくに後ろ付いて歩く道は、飛石。
一面に玉砂利が敷き詰められていて、大きな岩や松ノ木は、すごく良い位置におさめられている。
こうなってくると、邪魔なのは、門の真正面、木造の向かって左にどーんとある、鉄のガレージ。そのシャッターが視界に入るとなんだかがっかりする。
「たっだいまあ」
カラカラと小気味良い音を立てる玄関の引き戸。それを遮るように戸部たすくが声を張り上げた。
「あれ? のどか、ハルチャンは?」
「兄貴が来るって言ったら、顔真っ青にして震えだしちゃって。
可哀相だから、お昼だけ作ってもらって、ハルさんには、お暇あげた」
真っ青にして震えるって……。
あんた、ハルさんって方に何したのよ……。
「ふうん。じゃあ、みっちょんは?」
「三井さんは、親父と一緒」
バリアフリーとは、無縁な玄関を上がる。
「おじゃまします」
……小声になっちゃうのは、なぜでしょうか。
老舗は、老舗でも、老舗煎餅屋みたいに、くたびれてる感じじゃなくて。老舗の前に「高級」ってつくような。
こう、建物に歴史を感じるんだけれど、隅々まで手入れが行き届いているふうで、威圧感さえ感じる。
木造の建物も立派だけど、広々とした庭も圧巻。戸部たすくに後ろ付いて歩く道は、飛石。
一面に玉砂利が敷き詰められていて、大きな岩や松ノ木は、すごく良い位置におさめられている。
こうなってくると、邪魔なのは、門の真正面、木造の向かって左にどーんとある、鉄のガレージ。そのシャッターが視界に入るとなんだかがっかりする。
「たっだいまあ」
カラカラと小気味良い音を立てる玄関の引き戸。それを遮るように戸部たすくが声を張り上げた。
「あれ? のどか、ハルチャンは?」
「兄貴が来るって言ったら、顔真っ青にして震えだしちゃって。
可哀相だから、お昼だけ作ってもらって、ハルさんには、お暇あげた」
真っ青にして震えるって……。
あんた、ハルさんって方に何したのよ……。
「ふうん。じゃあ、みっちょんは?」
「三井さんは、親父と一緒」
バリアフリーとは、無縁な玄関を上がる。
「おじゃまします」
……小声になっちゃうのは、なぜでしょうか。



