彼女を10日でオトします

「邪魔! 苦しいって言ってるのが、聞こえないの!?」

 け、蹴った……?

 ジャージの子の鋭い怒声と共に、張り付いていた戸部たすくがよろめき、その場にうずくまった。

 すごく痛そうだけれど大丈夫かしら。ピクリとも動かないわね。生きてるかしら?

 そして、そのジャージの子は戸部たすくに見向きもしないで、スタスタとこっちに向かってくる。

「こんにちは。あなたが、キョンさんね」

「え、ええ」

 キョンさん……。蔓延してしまった、へんなあだ名に顔が引き攣る。

 そんな私とは逆に、にこりと微笑むジャージの子。こんなにジャージが似合わない子初めて見たわ。

 この子にこそ、私が占いで着させられるようなドレスが似合うわね。

「のどかぁ……。
ひどいじゃないか。攻撃する場所を考えてよ……。
俺の可愛いボウヤが再起不能になったらどうしてくれるんだよ」

「あ、まだ生きてたの?
再起不能になっちゃえばいいのに」

「それは、困る!
というか、キョンが困る!
ね、キョン?」

「どうして?」

「いやん。キョンちゃん、俺に言わせたいの?
それとも、実践してみる?」

 実践?

「黙れ、クソアニキ。
妹の前でそういう変態発言するな」

 兄貴? 妹?