「ねえ、俺、そんなにイイ男?
じいっと見つめてくれちゃって。照れるじゃないの」
は!
「み、見つめてなんか!」
やだ、見つめてたわ。
「キョン、お願いだから、そんな目で見ないで?」
かわらず、ダウンジャケットの中に頭を埋めて見上げる私と、下を向く戸部たすくの視線がカチリと合った。
どうせ、興奮しちゃうでしょ、とかなんとか言うんでしょ?
「……俺は、俺だよ。
キョンだけには、そういう目で見られたくないな」
逆さまの戸部たすくは、目を細めて薄く笑った。
この人、自分の眉間にシワが寄ってるの気づいてないのかしら。
心臓が縮んでいく。それは、不快な痛みを伴うものだった。
「何よ。無理に笑うことないじゃない」
細まっていた目が、スローモーションで元の大きさを超えた。
目の前の赤い唇が、何か言いたげに僅かに開く。
しかし、待てどもそこから声は発せられず、そのかわりに小さく息を吸い込んだようだった。
自分でも、いい加減ぶっきらぼうな言い方だと思う。
でも、仕方ないのよ。
あんな表情……不意打ちでするほうが、悪いわ。
ああ、もう。こんなのただの言い訳じゃない。
慣れてないのよ、人を慰めるのは。私にどうしろっていうのよ……。
じいっと見つめてくれちゃって。照れるじゃないの」
は!
「み、見つめてなんか!」
やだ、見つめてたわ。
「キョン、お願いだから、そんな目で見ないで?」
かわらず、ダウンジャケットの中に頭を埋めて見上げる私と、下を向く戸部たすくの視線がカチリと合った。
どうせ、興奮しちゃうでしょ、とかなんとか言うんでしょ?
「……俺は、俺だよ。
キョンだけには、そういう目で見られたくないな」
逆さまの戸部たすくは、目を細めて薄く笑った。
この人、自分の眉間にシワが寄ってるの気づいてないのかしら。
心臓が縮んでいく。それは、不快な痛みを伴うものだった。
「何よ。無理に笑うことないじゃない」
細まっていた目が、スローモーションで元の大きさを超えた。
目の前の赤い唇が、何か言いたげに僅かに開く。
しかし、待てどもそこから声は発せられず、そのかわりに小さく息を吸い込んだようだった。
自分でも、いい加減ぶっきらぼうな言い方だと思う。
でも、仕方ないのよ。
あんな表情……不意打ちでするほうが、悪いわ。
ああ、もう。こんなのただの言い訳じゃない。
慣れてないのよ、人を慰めるのは。私にどうしろっていうのよ……。



