振り向いた戸部たすくは、目を細めて私を見据える。
鋭い視線。鷹は、きっとこんな目で獲物に狙いを定めるんだ。
そのまま私を見つめながら、舌先をちろっと出して下唇を軽く舐める。薄く笑みをたたえて。
妖艶。これ以上の表現が見つからない。
「キョンの初ちゅーもーらい」
は?
なに? その為に、貴兄に、コイツ……。
パタ、パタ、パタ。戸部たすくの靴底が等間隔に音を立てる。
その音が響くほど、保健室は静まり返っていた。
「たすく、お前……マジでキョンちゃんのこと……」
後ろから、ヒデさんの声。
こちらに歩いてくる戸部たすくは、にっこり微笑んだ。
私の目の前で足を止める。そして、私の頭をなでおろす。
「うん、マジみたい。良かったね、キョン。
男にちゅーしちゃうくらい、俺、マジみたいだよ」
い、意味がわからん!! 何が良かったのか、何がまじなのか!?
「キョン、ちょっと二人っきりでお話しようか。
邪魔者は――」
上半身だけ後ろを見て、固まったままの貴兄を一瞥する。
「放心中だし、ね?」
と、私の腕を掴んだ。
私に向けられた極上の微笑みは、悪魔のモノとしか思えなかった。
鋭い視線。鷹は、きっとこんな目で獲物に狙いを定めるんだ。
そのまま私を見つめながら、舌先をちろっと出して下唇を軽く舐める。薄く笑みをたたえて。
妖艶。これ以上の表現が見つからない。
「キョンの初ちゅーもーらい」
は?
なに? その為に、貴兄に、コイツ……。
パタ、パタ、パタ。戸部たすくの靴底が等間隔に音を立てる。
その音が響くほど、保健室は静まり返っていた。
「たすく、お前……マジでキョンちゃんのこと……」
後ろから、ヒデさんの声。
こちらに歩いてくる戸部たすくは、にっこり微笑んだ。
私の目の前で足を止める。そして、私の頭をなでおろす。
「うん、マジみたい。良かったね、キョン。
男にちゅーしちゃうくらい、俺、マジみたいだよ」
い、意味がわからん!! 何が良かったのか、何がまじなのか!?
「キョン、ちょっと二人っきりでお話しようか。
邪魔者は――」
上半身だけ後ろを見て、固まったままの貴兄を一瞥する。
「放心中だし、ね?」
と、私の腕を掴んだ。
私に向けられた極上の微笑みは、悪魔のモノとしか思えなかった。



