「た……すくさん……?」
親指と人差し指に挟まれたスプーンを無表情に見つめていた戸部たすく。
私の声に反応して、その瞳を丁寧に動かした。
目が合った。そして、ゆっくりと口角が上がる。
やっぱり! 私が貴兄を好きだってばれた――!?
次の瞬間、にぱっと、いつもの笑顔に戻りった。
「ヒーデちゃん、好きな人がいなきゃ、この俺のこと嫌いって言うはずないでしょお? ねぇ、貴史ちゃん」
戸部たすくは、後ろを向いて、デスクで(たぶん)愛妻弁当を頬張る貴兄に笑顔を向ける。
「なんで、俺にフるんだよ」
貴兄の声を背中に受けて、心臓がどくんどくんと暴れだした。
貴兄に知られたくないという気持ちと、戸部たすくにバレてしまったかもしれないという恐怖。
体が凍り付いてしまって動けない。
「いやあ、若者たちの会話に入ってこれない、おんとし27歳の貴史ちゃんが、なんだか可哀相でぇ」
「余計なお世話だ」
「それに――」
声のトーンがぐっと落ちる。
「貴史ちゃんなら、キョンのこと、何でも知ってそうだし?」
その横顔は、依然、笑顔のままで。でも、それが、余計に怖かった。
親指と人差し指に挟まれたスプーンを無表情に見つめていた戸部たすく。
私の声に反応して、その瞳を丁寧に動かした。
目が合った。そして、ゆっくりと口角が上がる。
やっぱり! 私が貴兄を好きだってばれた――!?
次の瞬間、にぱっと、いつもの笑顔に戻りった。
「ヒーデちゃん、好きな人がいなきゃ、この俺のこと嫌いって言うはずないでしょお? ねぇ、貴史ちゃん」
戸部たすくは、後ろを向いて、デスクで(たぶん)愛妻弁当を頬張る貴兄に笑顔を向ける。
「なんで、俺にフるんだよ」
貴兄の声を背中に受けて、心臓がどくんどくんと暴れだした。
貴兄に知られたくないという気持ちと、戸部たすくにバレてしまったかもしれないという恐怖。
体が凍り付いてしまって動けない。
「いやあ、若者たちの会話に入ってこれない、おんとし27歳の貴史ちゃんが、なんだか可哀相でぇ」
「余計なお世話だ」
「それに――」
声のトーンがぐっと落ちる。
「貴史ちゃんなら、キョンのこと、何でも知ってそうだし?」
その横顔は、依然、笑顔のままで。でも、それが、余計に怖かった。



