「どうかしたのか。何か言われたりしたか?」
心配顔のコウが私を見下ろす。
「ううん、何にもないよ」
ただ、ぼんやりしてただけだし。
「ならいいが。神楽に文句のある奴は俺が聞いてやる」
コウはそう言うと周囲を見渡し睨みを利かせる。
私を睨みつけていた面々が顔を青褪めさせ、視線を逸らすと、ざわめきが静けさに変わった。
「コウ、本当に何も無いよ。早く行こうよ」
こんな所で無駄な時間を使うのは勿体無いよ。
「ああ、そうだな」
頷いたコウは表情を戻し、私の手を掴んで歩き出す。
羨ましそうに見てくる女の子達は、今度は叫ぶ事はせずに、こちらをただ見詰めるだけだった。
やっぱりコウもなんだかんだ言ってもモテるよねぇ。 女嫌いじゃなければ、今流行のツンデレだし、更にファンが増えそうなのにな。
私がコウなら、愛想を振りまいて女の子を侍らせてたかも知れないなぁ。
入り口から少し進むと受付があった。
「IDチェックをお願いします」
受付のお姉さんがそう言うと、コウは胸ポケットから一枚のカードを取り出し、彼女の方へと差し出した。
受け取ったそれを何かの機会に翳すと私に向かって一枚の用紙を差し出した。
「お連れの方はこちらにご記入お願いします」
「あ、はい」
名前などの必要事項を記入していく。
それを手渡せば、パソコンで登録を済ませたお姉さんが、私のIDカードを作成してくれた。
「次回よりこちらをお持ちください。では、楽しい一時をお過ごしください」
淡々とした対応のお姉さんに、2人分の料金を払い、私達は薄暗い廊下を進んだ。
「顔パスとかじゃないんだね」
「んな訳ねぇだろ」
隣を歩くコウが呆れた様に笑う。
「だって、小説とかだとこういう所って、顔パス多いもん」
「物語と現実は違げ〜んだよ」
「まぁ、そうだけど」
「おら、くだらねぇ事言ってねぇでしっかり歩けよ。足元暗れぇんだからな。転けんなよ」
「そんな簡単に転けたりしないよ」
「いや、お前は鈍臭え」
「コウの癖にムカつく」
ムッと唇を尖らせた辺りで、ホールへと続くドアへと辿り着いた。
心配顔のコウが私を見下ろす。
「ううん、何にもないよ」
ただ、ぼんやりしてただけだし。
「ならいいが。神楽に文句のある奴は俺が聞いてやる」
コウはそう言うと周囲を見渡し睨みを利かせる。
私を睨みつけていた面々が顔を青褪めさせ、視線を逸らすと、ざわめきが静けさに変わった。
「コウ、本当に何も無いよ。早く行こうよ」
こんな所で無駄な時間を使うのは勿体無いよ。
「ああ、そうだな」
頷いたコウは表情を戻し、私の手を掴んで歩き出す。
羨ましそうに見てくる女の子達は、今度は叫ぶ事はせずに、こちらをただ見詰めるだけだった。
やっぱりコウもなんだかんだ言ってもモテるよねぇ。 女嫌いじゃなければ、今流行のツンデレだし、更にファンが増えそうなのにな。
私がコウなら、愛想を振りまいて女の子を侍らせてたかも知れないなぁ。
入り口から少し進むと受付があった。
「IDチェックをお願いします」
受付のお姉さんがそう言うと、コウは胸ポケットから一枚のカードを取り出し、彼女の方へと差し出した。
受け取ったそれを何かの機会に翳すと私に向かって一枚の用紙を差し出した。
「お連れの方はこちらにご記入お願いします」
「あ、はい」
名前などの必要事項を記入していく。
それを手渡せば、パソコンで登録を済ませたお姉さんが、私のIDカードを作成してくれた。
「次回よりこちらをお持ちください。では、楽しい一時をお過ごしください」
淡々とした対応のお姉さんに、2人分の料金を払い、私達は薄暗い廊下を進んだ。
「顔パスとかじゃないんだね」
「んな訳ねぇだろ」
隣を歩くコウが呆れた様に笑う。
「だって、小説とかだとこういう所って、顔パス多いもん」
「物語と現実は違げ〜んだよ」
「まぁ、そうだけど」
「おら、くだらねぇ事言ってねぇでしっかり歩けよ。足元暗れぇんだからな。転けんなよ」
「そんな簡単に転けたりしないよ」
「いや、お前は鈍臭え」
「コウの癖にムカつく」
ムッと唇を尖らせた辺りで、ホールへと続くドアへと辿り着いた。


