「鬼夜叉に体でも売って、私を攫うように頼んだんですか?」
「そ、そんな事してないわよ」
怒りで顔を赤くした1人が叫ぶ。
「でも、先輩達が鬼夜叉に私の情報を売る事を考えたんですよね? 野良猫に可愛がられる私に嫉妬して」
「そうそう、神楽を攫わせてあわよくば、犯されでもしたら、野良猫の連中に見限られるとでも安易に考えたんでしょ? この子人生を無茶苦茶にしてやろうと思ったのよね」
私の言葉を引き継いだツッキーの辛辣な物言いに、一番大人しそうな1人が泣き出した。
残りの2人も顔を青褪めさせてる。
ツッキーが言う様な事までは、想定してなかったんだろうね。
本当、軽い気持ちで意地悪をしたかったって事かな。

「···わ、私達、そんな酷い事考えてなかった」
1人が泣きながら言い訳する次々と口を開き出した。
「ちょっとした意地悪のつもりで、偶然繁華街で見かけた緑のアフロの男に、貴の事を話したたけよ」
「いい気になってる子猫にちょっとした嫌がらせをしたいなら、アフロの男に貴方の情報を話せばいいのよって言われて···つい」
3人の告白に、私とツッキーは引っかかりを覚えた。
彼女達は誰かに誘導されたの?
「そこ、もっと詳しく教えて」
前のめりに1人の肩を掴んだ。
「···わ、私達、学校帰りに繁華街で遊んでたの。ファストフードの店で、あ、貴方の悪口を言ってて···」
1人がそう言うと、残りの2人もバツが悪そうに目を逸した。
「そしたら、女の人がやってきて、野良猫の子猫に躾をしたいなら、あの男に子猫の話をすればいいわって、ファストフード店の対面にあるゲームセンターの前に居た緑のアフロの人を指さしたの」
「わ、私達、彼が鬼夜叉の人だなんて知らなかったのよ」
だから、自分達は悪く無いと訴えてくる3人に、呆れを通り越し無感情になった。
軽い気持ちで、人に言われて···なんとも安直すぎるよね。

「私達、こんな大事になるだなんて知らなかったの」
「少し意地悪できたら、それで良かったのに」
「鬼夜叉だなんて知ってたら、話さなかったわよ」
次々と勢い付いたように言い訳をしてきた3人。
「言い訳はいいから、貴方達にアドバイスしてくれた女の特徴は?」
ツッキーは彼女達を無視して淡々と話を進める。
「凄い美人だったわ」
「大きなサングラスをしていたけど、顔の作りは良かったわ」 
「綺麗で上品な感じの人」 
上品な人は、嫌がらせの斡旋はしないと思うけどね。

「美人なのは、分かりました。他に何か覚えてないんですか?」
もっとこう、身体的な特徴を教えてもらいたい。