「まったくお前は普通の女じゃねえよな」
「いや、普通に生まれた時から女ですけど」
何を言ってるんだ、霧生。
「普通の女は俺が距離を縮めりゃ、うっとりとして抱きついてくんだよ」
「それ、何自慢? 自分はモテてますって事?」
「はぁ···もういい。行くぞ、本気で遅刻する」
気怠げに前髪をかき揚げた霧生は会話を諦め歩き出す。
遅刻は嫌なので、私もそれ以上ツッコむことはせずに霧生を追い掛けた。
そりゃ霧生ぐらい美丈夫になれば、モテるよね。
あんな風に今まで女の子を誘ってたのかなと、思ったら胸の奥がズキンと痛んだ。
私に他の女の子と同じ反応を期待なんかしないでよね。
女ったらしい、霧生のば〜か! 霧生の背中に向って心の中で呟いた。
「「「「「おはようございます」」」」」
溜まり場の外に出ると、こちらに気づいたメンバーの野太い声が響いた。
みんな学生服を着て、学校に行く準備をしていた。
夕方よりも人数が少ないのは、殆どの人が夜遅くには自宅に帰ってるから。
溜まり場に泊まってるのは私みたいに事情があって住む場所がない子や、見張り当番の子達だけ。
「おはよう」
向けられる沢山の笑顔に手を振りながら朝の挨拶を返す。
「ああ」
軽く手を上げ愛想の無い返事を返した霧生は、シャッター前に用意されていたバイクのオープンシートに2人分の鞄をしまい込むとバイクに跨った。
霧生のバイクはピカピカ光る銀色の大きなビックスクーター。
ヤマハのマジェスティカスタムと言うらしい。
バイクの事はよく知らないけど、なんかあちこち尖ってて格好いいと思う。
それにスクーターだから、車体が安定していてタンデムも乗り心地がいいんだよね。
「おい、メット被って後ろに跨がれ」
ポンと投げ渡されたのは私専用の真っ白なジェットヘルメット、霧生が買ってくれたんだよね。
帽体にチンガードのない顎の部分が空いたタイプで、バイザーも無くお洒落な感じの物。
霧生も同じタイプの色違いの真っ青なヘルメットを既に着用してる。
「は〜い」
ヘルメットを被って顎のベルトを止めると、スカートを太腿に巻きつけるようにして腿とシートの挟み込み霧生の後ろに跨った。
もちろん、スカートの下には捲れても大丈夫な様に体育用のハーフパンツを履いてけどね。
「落っことされねぇ様に、しっかしと掴まってろよ」
振り返り私を見た霧生に頷き、彼のお腹に両手を回し抱き着いた。
落ちたくないもんね。
ふわりと香る霧生の香水に、心拍数が妙に跳ね上がる。
それに気付かないフリをして、私は彼の背中に顔を埋めた。
霧生がエンジンキーを回すと、低い重低音と共に振動が身体に伝わった。
ゆっくりとアクセルを開け、バイクをスタートさせた霧生。
西高迄の束の間のドライブが始まった。
「いや、普通に生まれた時から女ですけど」
何を言ってるんだ、霧生。
「普通の女は俺が距離を縮めりゃ、うっとりとして抱きついてくんだよ」
「それ、何自慢? 自分はモテてますって事?」
「はぁ···もういい。行くぞ、本気で遅刻する」
気怠げに前髪をかき揚げた霧生は会話を諦め歩き出す。
遅刻は嫌なので、私もそれ以上ツッコむことはせずに霧生を追い掛けた。
そりゃ霧生ぐらい美丈夫になれば、モテるよね。
あんな風に今まで女の子を誘ってたのかなと、思ったら胸の奥がズキンと痛んだ。
私に他の女の子と同じ反応を期待なんかしないでよね。
女ったらしい、霧生のば〜か! 霧生の背中に向って心の中で呟いた。
「「「「「おはようございます」」」」」
溜まり場の外に出ると、こちらに気づいたメンバーの野太い声が響いた。
みんな学生服を着て、学校に行く準備をしていた。
夕方よりも人数が少ないのは、殆どの人が夜遅くには自宅に帰ってるから。
溜まり場に泊まってるのは私みたいに事情があって住む場所がない子や、見張り当番の子達だけ。
「おはよう」
向けられる沢山の笑顔に手を振りながら朝の挨拶を返す。
「ああ」
軽く手を上げ愛想の無い返事を返した霧生は、シャッター前に用意されていたバイクのオープンシートに2人分の鞄をしまい込むとバイクに跨った。
霧生のバイクはピカピカ光る銀色の大きなビックスクーター。
ヤマハのマジェスティカスタムと言うらしい。
バイクの事はよく知らないけど、なんかあちこち尖ってて格好いいと思う。
それにスクーターだから、車体が安定していてタンデムも乗り心地がいいんだよね。
「おい、メット被って後ろに跨がれ」
ポンと投げ渡されたのは私専用の真っ白なジェットヘルメット、霧生が買ってくれたんだよね。
帽体にチンガードのない顎の部分が空いたタイプで、バイザーも無くお洒落な感じの物。
霧生も同じタイプの色違いの真っ青なヘルメットを既に着用してる。
「は〜い」
ヘルメットを被って顎のベルトを止めると、スカートを太腿に巻きつけるようにして腿とシートの挟み込み霧生の後ろに跨った。
もちろん、スカートの下には捲れても大丈夫な様に体育用のハーフパンツを履いてけどね。
「落っことされねぇ様に、しっかしと掴まってろよ」
振り返り私を見た霧生に頷き、彼のお腹に両手を回し抱き着いた。
落ちたくないもんね。
ふわりと香る霧生の香水に、心拍数が妙に跳ね上がる。
それに気付かないフリをして、私は彼の背中に顔を埋めた。
霧生がエンジンキーを回すと、低い重低音と共に振動が身体に伝わった。
ゆっくりとアクセルを開け、バイクをスタートさせた霧生。
西高迄の束の間のドライブが始まった。


