「まぁ、しっかりと考えて返事はするつもりよ」
フッと表情を緩めるツッキー。
「うん。分かってる。ツッキーは適当な事をする子じゃないって知ってるもん」
伊達に長い付き合いはしてないよ。
願わくば、総長の思いが叶って欲しいとは思うけど、ツッキーにも幸せになって貰いたいから、彼女か無理をするような事にだけはなって欲しくない。
「それならいいわ。ところで、最近そっちはどうなのよ?」
ゆるりと口角を上げたツッキーが、意味有り気な視線を向けてくる。
「ど、どうって···まぁ、仲良くはやってるかな?」
照れ臭くて、少し目を泳がせた。
「あの男に泣かされたら言いなさいよ。倍にして返してあげるから」
ツッキーは勝ち気な笑みを浮かべる。
彼女は何時だって私を心配してくれるんだよね。

「ありがと、ツッキー。でも、霧生は私を大切にしてくれてるよ」
ツッキーを安心させるように微笑む。
霧生は、俺様で強引な所はあるけど、間違いなく私を大切にしてくれてる。
寂しくないようにって側に居てくれるし、沢山の愛情を注いでくれてるんだ。
「なら、いいわ。神楽にそんな穏やかな表情をさせるのが、彼だってのは少し気に食わないけど、貴方が笑っていられるなら悪くないもの」
「···ツッキー」
「幸せになんなきゃいけないんだからね」
ツッキーの優しさにホロリと涙が出そうになった。
「ツッキーだって、幸せになってよね」
私の心配してくれる大親友にも幸せになってもらいたい。
「そんなの当たり前でしょう」
自信たっぷりに笑うツッキーは、出会った頃とちっとも変わってないような気がした。
彼女が初めて私に声を掛けてくれたのは、小学校の頃。
闇に囚われ一人ぼっちだった私に、彼女は真っ直ぐに手を差し伸べてくれたんだ。
ツッキーには、昔も今も守られてるね。
だからこそ、思う。
ツッキーの向かう未来が光に包まれた温かい場所あります様にと。

「ツッキー、東高祭楽しみだね」
色んな意味で、ワクワクしてしまう。
「フフフ、そうね。神楽は、東高の女連中に舐められないようにどっしり構えてなきゃ駄目よ」
「うん」
霧生のファンの女の子達が大勢居る場所に行くのは、かなり面倒な気もするけど、ツッキーと一緒なら悪くはないかなって思うんだ。
「くだらない言いがかりをつけてくる連中をぶった切るのは面白そうよねぇ」
悪い顔で笑みを浮かべたツッキーに、背中がぞわぞわした。
彼女は、何をするつもりだろうか。
出来れば穏便に東高祭を楽しみたいと思ってるだなんて、怖くて口に出来そうには無かった。
喧嘩上等! そんな言葉がまさにツッキーを表す言葉の様に思えたのは、間違いじゃないと思う。