ツッキーと総長が最近怪しい。
いや、まぁ、コソコソしてる訳でもないので、怪しくもないか。
どっちやねん! 大阪っぽくツッコミを入れてほしい。

ツッキーと総長は気が合いそうだなって思ったのは、初対面のあの日。
同じような空気を醸し出す2人に、くっついたらいいのになって思ったのは記憶に新しい。
ツッキーは、少し年上の彼氏が居たイメージがあるから、総長ともが合うんじゃないかなって思うんだよね。

机に頬杖をついて、ポッキーを齧ってるツッキーを観察する。
綺麗なお姉さん的なイメージのある彼女は、同じ年に見えないぐらい落ち着いてるんだよね。
「なによ、その意味深な視線は」
あ、見つかった。
訝しげに私を見据えるツッキー。
「な、なんでもないよ」
「なにか言いたげな顔してるくせに、ほら、言いなさいよ」
「いたひよ、ツュッキー」
頬を両手で引っ張るよしてよ。

「変な顔···フフフ」
自分で引っ張っておいてそれはないよ。
開放された頬を両手で擦りながら、ツッキーを恨めしげに見上げる。
「女の子の顔は引っ張っちゃ駄目なんだからね」
「神楽のほっぺたはモチモチしてて、触り心地が良いから仕方ないのよ」
「仕方無くないよ」
「はいはい、分かったわよ。で、何なの?」
あ、まだ忘れて無かったんだね。
「あ···うん、ツッキーが最近、総長と仲良しだなって思ってただけだよ」
言わなきゃ追及が酷くなりそうだから、正直に言ってしまおう。
「なんだ、そんなことなの。確かに最近、良く会ってるわよ」
「そんなあっさりと言うんだ」
「別に隠してる訳でもないもの」
「···そうですね」
「なによ? 変な勘違いでもしてるんでしょう」
呆れ顔で私を見るツッキー。

「べ、別に勘違いとかして無いし。2人が付き合ったら良いのになぁとか思ってただけだよ」
「付き合う···ねぇ。まぁ、話も合うし気も合うから、付き合うのも良いかもしれないわね」
ツッキー、なんだか、軽いよ。
「ツッキーは総長が好きなの?」
「嫌いでは無いわね」
「···総長はどうなのかなぁ」
満更でもない気はするけどなぁ。
「付き合って欲しいって言われたわよ」
独り言の様に呟いた言葉を拾ったツッキーは、惜しげもなくあっさりと私に白状する。
「ええっ!」
思わず身を乗り出した私にツッキーは更に続けた。
「今度の東高祭で返事する事になってるのよねぇ」
憂いを帯びた様に遠くに視線を向けたツッキー。
に、東高祭で、返事だ〜!
聞いてないよぉ。
霧生達の通う東高で、今度の金土で行われ文化祭で、告白の返事なんですか。
いきなりの展開に、関係ないはずの私がドキドキした。