案内されたメイクルーム。

見た事のないメーカーばかりに、目をキラキラさせたあたし。
だってまさに、プロ仕様のメイク道具なんだもん。

いつも一緒のみんなは、メイクルームから追い出され隣の控え室。


「ねぇ、あげちゃん。
あげちゃんって社長さんなの?」

隣にいるあげちゃんは、当たり前のように椅子に座り、メイクをされてゆく。

普段のギャルメイクが、剥がれてくーー。


金髪の長い髪は、パサリ、と床に投げ出された。

??


髪が落ちた?


いや、違う。



長い髪が顕になるーーーー

オーロラに輝く髪に息を呑んだ。



「うん、一応作った。
これがあたしの本物の色だよ。
有名になって、両親を見返すためさ。
あたしを捨てて、施設行きにした奴らに、復讐をしたかったーーー」



決意に満ち溢れたその瞳に何も言えなかった。


施設ーー?


復讐ーー?



あたしの最初の目的は、復讐から始まった。


だけど途中気づいた思いは、復讐なんて無意味だと思い知った。

女のあたしには、無理で。






「そんな悲しいこと言わないで。



現実とは違うかも、知れないんだよ」



恨んでいた奴が、
ほんとは、優しいことを知った。


知らなかった現実に、驚きと和解は同時に来た。

あの頃に似すぎてーーー
言わずには居られなかった。