なんだ、笑えるんだ。
怖いギャルの印象から、一転一瞬で塗り替えられた。



「ねーねー彼女、来週文化祭で可愛いメイド服作るんだ。
協力してくれない?」



は?


どこらか聞き覚えのある声を目で追えば、シュウだった。




「え、あたし?
文化祭か。

いいよ?」


少し考えた後、二つ返事でオッケーした彼女。




「ーーーーあたし、黒羽 あげは。
よろしくねっ」


「「「あげは!?」」」

たまたま、かな。

あげはと同じ名前の女の子。


黒羽あげは。


「んっ、何?
見てたよね、君」


まさかの視線に気づかれたとは、思わず目を逸らした。


「え、まさかのレイ?
あ、まさかあげはちゃんと同じ名前に反応して、いたっ!」

つか、なんでコイツがここにいるわけ?


買い出しチームじゃない筈。

シュウの頭を軽く叩いた。


「あげはちゃんって誰?」




通称 黒あげはちゃんは、辺りを見渡した。


誰ってーーーーーー
メンバーの中で唯一の女の子は
たった一人。

あげはしか居ない。

だけどあげは、はいなかった。



「あれ?
あげは?

つか、せいは?」


ドキリ、とした。

あの二人がいない。



「あーあの二人なら、男子のが話あるって連れ出したけど?」


話ーーー?



「俺、探してくる!」


ひどく焦った様な白。


追いかけ様と、進ませようとした足は。



「ねえ、黒あげはちゃん。
LINEしてる?
教えてよ!」

カウンター席にいるシュウと、黒あげはちゃんに注がれた。




「行かないのか?」



ずっと黙っていた龍が喋った。