龍と、レイくんの想いに
気付けなかった。


だけどーーーーそんなあたしに龍は。



「だけどーーーー、やっぱり好きだな。
想うぐらい、いいよな」


自販機の前。


消灯を迎えた薄暗い廊下。

灯は、自販機の灯りだけ。


「ーーーーいいんじゃない。
白も、これからが大変じゃないかな」

「ーーーー何が?」

不機嫌な龍の声。


「あは、あげはしか見てなくて気付かなかったか。あげはのクラスメイト男子二人に。
あげは、好きらしいよ。

何しろ、高校生のあげは、めちゃくちゃ人気らしいから、白も大変じゃない?」


レイくんは、ブラックコーヒー片手にニヤリ、と笑った。

様になるその姿。


「ーーーー大丈夫。
揺るがないよ、あげは、は白しか見えない」


悲しいけど、と付け加えた。