「たまには、黒でも役に立つよな。
穴場とか、"元遊び人"じゃなきゃ、わかんないしな!」

うわ、シュウのやつ、空気読まねーー。


「ちょ、舞ちゃんの前でそれやめてよ!」

賑やかな車内。

なんの変哲も無い、幸せなひと時。


「それは過去だから。
私は黒くんを信じる」


不意に発した言葉。

紛れもない、舞ちゃん。

舞ちゃんは、黒を一途に思ってる。

きっと黒も。。



「遊び人は、過去のこと。
今は舞ちゃんを愛す一人の男だよ」


車ん中。


ほんわりと周りに花が舞うのは、気のせいと決め込んで。


知らないふりをした。

横にいるあげはの手を、ギュッと握った。


やけに冷たいあげはの手に、泣きそうになった。