夕香里の優しさに感服していると、彼女の
さっきまでとは違う躊躇うような表情に気づいた
何か言いたいけど言っていいのか決めかねてるって顔してる
「なんかあった?」
今度は私が彼女の相談に乗る番かな
そう思って水を向けると
「…ねえ、美季ってホントに課長と付き合ってるんだよね?」
「…そ、そうだけど?」
――あれ?また私のターン?
「その割に前と変わったように見ないんだけど」
「えっ、そう?」
夕香里にも仕事中の課長は変わったように見えないんだね
ん、まああたりまえっちゃあたりまえだね
「まあ、会社だし、課長だし?」
「っじゃなくて!
課長が美季の事良く視てるのは最初から変わってない
気づかなかったのはあんただけ」
「そうなの?」
初めて聞いたよ!やだ、ニヤけちゃう~
「喜んでるとこ悪いけど、
あたしが言いたいのはそこじゃなくて…
美季、プロポーズされたって言ったよね?」
「う、うん」
あ~今顔赤いわ////
何か面と向かって確認されるとね
恥ずかしいけど、しっかり頷いた
夕香里は茶化しているのでなく、凄く真剣な顔してるから、
私も真面目に答えなきゃいけないと思ったからだ
でも、そもそも何でこんなこと聞くんだろう?
私と秋元さんのことを一つ一つ確認しているようではあるけど、
何故そんなことをするのか全く分からない
夕香里はそんな私の様子に、なにか痛ましいものでも見るようにして顔を歪めた
一度きつく目を閉じてから、決意を秘めた強い目で私を見据える
「美季、これからあたしが話すこと、
しっかり聞いてほしい
その上で自分が幸せになるためにどうするべきかよく考えて
この話はあんたにとって
プライベートでもキャリアでも
これからのことにきっと大きく影響するから」
夕香里が表情を強張らせながらしてくれたその話は
私にとってまさしく晴天の霹靂だったーーー



