「……お~い、美季~。戻ってこーい」

ヤバ!放置してた

「え、あ、何?夕香里」

「イヤあんたさ、もしかしてだけど…」

あれ、やっぱ勘づいたっぽい?

「あ~なんかずっと胃が痛くてさ~」

「え、そっち?」

「なにが?」

「いや、じゃあ気持ち悪いのって……」

「あ~そうなの!
実は胃腸の調子悪くってさ~
栄養剤とかカフェイン取りまくってたせいで
胃が弱ってて、食べると胃もたれしちゃうのよ」

どうかこれでバレませんように!

「は?
じゃあカルボナーラとかダメダメじゃん!」

――っよし!!

「そう言えばそうだねうっかりテヘペロ!」

「テヘペロ!っじゃないわよ!はあぁ……
もう~こっちはもしかしてできたんじゃないかって心配したのに」

――やっぱり夕香里、鋭いっ!

「な、ないない~!!でも目の前にあるのにカルボちゃん食べれないツラい~」

「それは自業自得!せっかく課長が海外出張でいないんだから、
今のうちブラックな働き方改革しなさいね」

「う~……
なら仕事積み上げてった課長に言って!
ついでに高杉にGPS埋め込んでさぼってたら衛星から攻撃して帰社させて!!」

「はいはい、ならNASAの人紹介してね。
あと費用全額負担してくれるなら請け負うわ」

「大阪の社長じゃダメ?てかGPSはOKなんだ」

「カプセルを手に埋め込むだけでしょ?
お酒に誘って睡眠薬飲ませれば…」

「はい、夕香里さんそれダメ絶対!」

「バレなきゃいいのよ」

「その発言怖いから!夕香里ホントにやりそうなのでマジ止めてください
友人を犯罪者にはできません」

「……冗談よ」

「その間が冗談に思えません!」

口は笑ってても目がマジだよっ!
普段は常識家で大人なのに、
たまに突拍子もないことするから油断できないの!!

「…フフッ」

「な、何?」

「ちょっとは元気になった?」

「……うん、ありがとね」

あ、さすがに冗談だったみたいだ
ていうか、気ィ使わせちゃった?

「あの医者なら何とかなるかな…」

ボソボソ言ってたのは聞こえません!

夕香里は私の注文したカルボちゃんと自分が頼んだトマトとアンチョビパスタを
交換してくれて、追加で枝豆の冷製スープをオーダーした

――ううっ、こういうとこ、ホント敵わないって思うよ