「美季、大丈夫?」

昼休み、一緒にランチに出かけた夕香里が
心配そうな顔で私を覗き込む

原因は私の目の前にある

芳醇なチーズとクリームのハーモニー、
ピリリとしたアクセントを加える胡椒に
カリカリベーコンの香ばしさ!!

それは大好きなカルボナーラ!!

最近食欲ないねって夕香里が誘ってくれて
私もコレなら食べられる~!!って期待に胸を膨らませてたのに

2口でギブアップしてしまった……

頭は食べたがっている、
心も欲しているというのに
体が言うことを聞いてくれないなんて

濃厚なチーズの香りを吸い込んで感動した次の瞬間吐き気がするという、
私にとって悲しすぎるループ

それは周囲の人にある疑いを抱かせる……

ああ、神様!
ほんのひと口でもいいマジ食べさせて!!
オーナーシェフのおじいちゃん、見てるのに!

奥さんのもの言いたげな瞳には、私を気遣いながらも戸惑う色がある
顔を覗き込む夕香里のそれも同じ色している

私だって可能性に気づかないわけじゃない!

けど今ここで認めるわけにいかないし、まだ決まったことでもない

それなのに妙な確信を持たれたら困るの~!