多分、世の中のイケメン全てが束になっても彼には敵わないだろうと思うほど。
クリフォード様、カッコいい。

こんな状況なのに胸がときめいてしまう。
会社で遠巻きに見ていた時より、社長室で抱きしめられた時より更に輝いて見えるのはなぜだろう。

今日着ている深紅の軍服があまりに似合いすぎているからかもしれない。
お顔がきりりと精悍で私の好みのタイプだなんてことは絶対に秘密だ。

不意にクリフォード様が顔を上げた。
パチンと音がしたんじゃないかと思うほどぴったりと彼と私の目が合った。

時が止まったかのように周りの音は聞こえず、人々も見えなくなった。

クリフォード様の口元がかすかに動いたように見える。

そしてクリフォード様が立ち上がり満面の笑みを見せた。

「楓、目覚めたか」

止まっていた時が戻り、私に向かって早足で駆け寄ってきたと思ったらいきなりぎゅっと抱きしめられていた。

ひゃあ
声にならない悲鳴を心の中であげる。
驚きすぎて声にならなかった。

「楓、会いたかった」

私の背中に腰にクリフォード様の腕が回されしっかりと抱え込まれてしまった。
クリフォード様の胸元に私の顔がくっつき、軍服越しに彼の体温とあの香りが襲ってくる。

前回より香りが濃くなっているんじゃないかな。
いい香り。
安心感と同時に本能がくすぐられるような身体の奥深い所がきゅんっとする感覚に自分自身で戸惑いを覚える。

何だろう、懐かしいような、切ないようないろいろな感情が入り混じるこの奇妙な感覚は。